入管庁に対する在留資格の申請や更新について、いざご自分がやらなくてはならないとなったときに、「自分でやるのが不安だ」とか、「難しそうだから、誰かに相談したい」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういったときの選択肢の一つが、申請取次行政書士です。
そこで、この記事では申請取次行政書士とはどのような人なのかを簡単にご説明します。
申請取次行政書士とは
通常、在留資格に関する申請は本人が入管の窓口に出向いて行うのが原則です。
しかし、一定の研修を受けた行政書士は、申請人本人に代わって出入国在留管理庁に申請書類を提出することができます。
これが「申請取次行政書士」です。
申請取次行政書士というのは、法律上の正式名称ではありません。
入管業務においては、「申請等取次制度」というものが存在します。
本来は本人が窓口に出頭して手続きを進めなくてはならないのですが、窓口の混雑緩和や申請人の負担軽減等の観点から、一定の有資格者であれば、本人や担当者が窓口に来なくても申請を進めることができるという制度です。
この申請取次の資格を持つ専門家は、入管に届出を済ませた証として通称「ピンクカード(届出済証明書)」という身分証を持っています。
この申請取次の資格を持つ行政書士のことを、「申請取次行政書士」といい、様々な専門領域のある行政書士の中でも入管業務の専門家であるという証となります。
申請取次行政書士の3つの強み
1. 入管に行かなくていい(時間と負担の節約)
申請取次行政書士に依頼すると、本人も、会社の担当者も、入管の窓口に行く必要がありません。
入管は予約が必要なことも多く、当日も待ち時間が長くなりがちです。
仕事や学業が忙しい方、社内の担当業務を抱えながら入管対応もしている方にとって、この時間的な負担はけっして小さくありません。
申請取次行政書士が窓口対応を代わりに行うので、その時間をほかの大切なことに使えます。
また近年はオンライン申請も増えていますが、使える手続きの種類に制限があり、手続きの種類によっては本人の出頭が必要な場合があったり、外国人ご本人の場合にはシステム利用のための事前登録にマイナンバーカードが必要になったりするので、注意が必要です。
また書類をオンラインで送信するため、書類のスキャンなどの電子化作業や、システムでエラーになったときの対応なども必要になりますので、デジタルの壁が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そういったデジタル時代への対応も含めて専門家に任せることで、ご自分の大切な時間や手間を節約して、本来の業務や学業、日常生活により多くの時間をあてることができるでしょう。
2. 在留資格に関する専門的な知識がある
申請取次行政書士になるには、出入国管理に関する専門の研修を受け、考査(テスト)に合格する必要があります。
さらに、実際の業務、内部での研修や勉強会などを通じて、在留資格の種類や要件、必要書類の内容についての知識を積み重ねています。
「どのような書類が必要か」、「どう説明すれば審査官に正しく伝わりやすいか」といったことを考え、どのようなことに重きをおいて説明すべきかといったことも考慮しながら、書類の作成や整理を行います。
また、希望する在留資格での申請が難しい場合には、申請者それぞれの事情や経歴をふまえて、別の在留資格の可能性を検討することもできます。
「この資格ではなくこちらの資格で申請する方が通りやすいのではないか」、「この点をアピールすれば審査で有利に働くかもしれない」といった視点から、申請の方針を一緒に考えることも、専門家ならではのサポートのひとつです。
とうぜん魔法使いではありませんので、認められない申請を通すことはできません。
足りない書類を増やすことはできませんし、筋の通った主張をしているつもりでも、あくまでも審査をするのは入管庁ですから、こちらの主張する内容が必ずしも認められるとは限りません。
ただ、申請者の事情を正しく整理し、入管庁にできるだけ考慮してもらえるよう書類を整える。また申請の方針そのものを検討する。そういった場面において、専門家の知識は役立つはずです。
3. 入管とのやりとりに慣れている
申請を出した後、入管から追加書類の提出を求められることがあります(「補正」や「資料提出通知」などと呼ばれます)。
こうした連絡は突然来ることも多く、何を求められているのか、どう対応すればよいのか、戸惑う方も少なくありません。
こうした追加対応が必要になった場合にも、その指示内容の趣旨をふまえて対策を検討し、対応することができます。
こうした突発的な対応に慣れていることも、申請取次行政書士の強みのひとつです。
企業担当者の方であれば、「急な連絡への対応に追われた」という経験がある方もいるかもしれません。
専門家が間に入ることで、こうしたやり取りもスムーズに進めることができるでしょう。
こんな時にはご相談を
在留資格の申請を、ご自身で、または企業様であれば社内で対応することは、もちろんできます。
入管のウェブサイトには手続きの案内があり、申請書の書式も公開されています。
「費用を節約するためにも自分でやりたい」という方、「本を読んだり、入管の窓口へ行って相談したり、AIで調べたりしながら、自分で勉強してやりたい」という意欲のある方、「手続きを社内で完結させたい」といった方は、そのままご自分たちで進めていただいて構いません。
ただ、手続きを進める中でこんなふうに感じることはないでしょうか。
【外国人本人の方は…】
何が必要か、何をしたらよいか、よくわからない。在留資格の種類が多くて、自分のケースに何が当てはまるのか判断しにくい。
書類がそろっているか不安。不備があって申請が通らないと困る。
日本語の書類を書くのが大変。申請書や理由書をどう書けばいいか悩んでいる。
【企業の担当者の方は…】
本来の業務に集中したい。入管対応が業務の合間に割り込んでくるため、そのたびに時間を取られてしまう。
社内だけで判断するのが心配。外国籍社員の在留資格のことを、間違いなく進められるか不安がある。
引き継ぎが大変。担当者が変わるたびに、入管対応の専門的な知識や経験をゼロから引き継ぐのに苦労している。
こうした場合、申請取次行政書士に相談することで、不安の解消や時間の節約にお役に立てるかもしれません。
まとめ
申請取次行政書士は、在留資格に関する手続きを専門的な知識と経験をもってサポートできる存在です。
本人や会社に代わって入管に申請手続きをとれるのは、専門の研修を経た申請取次行政書士ならではの強みです。
自分でやる、社内で内製化して対応する。
それも正解の一つです。
ただ、不安や負担を感じているのであれば、専門家に関与してもらうのも有力な選択肢の一つでしょう。


