「特定行政書士って、普通の行政書士と何が違うの?」
行政書士という資格自体が一般にあまり知られていない中で、特定行政書士はさらに数が少なく、認知度も高くありません。
実際、日本行政書士会連合会のホームページから行政書士検索をすると、全国の行政書士は2026年6月15日現在55,472人が登録されていますが、その中で特定行政書士として登録されているのは5,950人(全体の約10.8%)にとどまっています。(日本行政書士会連合会行政書士会員検索)
そこで今回は、特定行政書士とはどのような資格なのか、そして何ができるのかについてご説明します。
1.特定行政書士とは何か
特定行政書士とは、行政書士が作成できる書類による許認可などに関係する行政への不服申立て手続(審査請求など)を代理し、その際に提出する書類を作成することができる資格を認められた行政書士を指します。
行政書士の中でも、一定の研修を受講し、試験に合格した者に付与される資格です。(行政書士法第1条の4第1項第2号、同条第2項)
通常の行政書士が扱えるのは申請書類の作成・提出の段階までですが、特定行政書士はさらに、依頼者に代わって不服申立てまで行うことができます。
令和7年の行政書士法改正では、従来よりも幅広い案件について不服申立て代理を受任できるようになり、行政手続における不服申立ての専門家としての役割がより明確になりました。
2.特定行政書士ができること
● 行政不服申立ての代理
行政庁が行う次のような「処分」に対して、依頼者に代わって不服申立てを行うことができます。
- 不許可処分(申請が拒否されたような場合)
- 不利益処分(許可を取り消されたような場合)
- 不作為(申請したのに何も応答がない場合)
● 不服申立てに必要な書類の作成
- 審査請求書
- 反論書・意見書
- 主張書面
- 証拠書類の整理
不服申立ては、裁判に進む可能性もある行政判断の見直しを求める手続です。そのため、処分理由の分析、法的根拠の検討、主張の構成など、一定の専門的知識が求められます。
● 要件事実論に基づく書面作成
特定行政書士は、不服申立てを扱うための研修において、「要件事実論」に関する基礎的な考え方を学んでいます。
要件事実論とは、法的な権利・義務の発生に必要な事実を整理・分析するための考え方で、法的に筋の通った主張を組み立てるうえで重要な思考の枠組みです。
これにより、単に書類の形式を整えるだけでなく、主張の根拠となる事実を適切に整理した書面を作成することができます。
● 申請段階から不服申立てを見据えた関与
不服申立てでは、申請段階で提出した資料や主張がそのまま審査対象になります。
そのため、申請時点での主張の組み立て方が、後の手続の行方に影響することがあります。
特定行政書士は、申請段階から不服申立てまでを視野に入れた関与ができるため、
- 必要な事実の漏れのない整理
- 行政庁の判断枠組みに沿った説明
- 申請から不服申立てまで一貫した論理構成
といった対応が可能です。
申請段階での主張が後の手続でも通用するよう、早い段階から準備を整えることができます。
3.特定行政書士が求められる理由
許認可などの行政手続では、単に書類の形式を整えるだけでなく、以下の要素を総合的に踏まえたうえで、状況に応じた的確な主張を構成する力が求められます。
- 法令・通達
- 審査基準
- 行政実務の運用
- 行政庁の判断の枠組み
これは行政書士全般に求められる専門性ですが、特定行政書士はこれに加え、万が一の際の「不服申立て代理」という法的手続までを、自ら一貫して担うことができる特長があります。
そのため、申請の初期段階から最終的な救済手続までを見据え、最後まで継続して伴走できる専門家として大きな力となります。
まとめ
特定行政書士は、通常の行政書士業務に加え、万が一の際の行政不服申立ての代理までを一貫して担うことができる専門家です。
そして、この不服申立てに関する専門知識は、申請前のリスク分析や予防にも活かすことができます。
これにより、行政がどのように判断するかという法的な視点での整理を行い、最終的な手続までを見据えた広い視野から書類の作成や申請業務に行うことができるのです。
こうして最初からブレのない、より確実な申請準備を行うことで、不服申し立てという段階へ進んでしまうリスクをあらかじめ管理することができます。
申請段階での主張の組み立て方は、その後の手続の行方を大きく左右します。
このように、最初の申請から「もしも」の事態までを見据え、最後まで一貫して頼れる専門家をお探しの方は、ぜひ特定行政書士へのご相談をご検討ください。


